
撮影:林和也
一人暮らしの男性なら、自炊することも少なくないハズ。しかし、ただ漫然と作るのでは味気ない。
「家で作るなら、何よりごはんをおいしく炊いてほしいですね。最大のポイントは水。最初にお米を洗う水を市販の軟水にするだけで、ぜんぜん違いますよ」
こう語る黒木 純さんは、かの『アイアンシェフ』で和の鉄人を務めるなど、若くして日本を代表する和食料理人のひとり。オーナーシェフを務める「くろぎ」のランチは絶品だ。メニューはただひとつ、「鯛のごま和え」。ごはんのお供として、そのままのせてもお茶漬けにしても絶品(ここだけの話、おかわり可)。充実した内容ながら1000円という破格ぶりだけに、予約は困難を極める。ランチは「もうほとんどボランティアです」というけど、レシピを尋ねるや、これまたあっさり教えてくれ、気っぷの良さに驚くばかりだ。
「道具や調味料ひとつで、たとえ同じ分量でも味は変わるし、味覚や技術もそれぞれ。ご家庭ごとに好みの味を見つけてほしいですね」
「僕は基本をお伝えするだけ」と語るものの、味の良さは折り紙付き。さらにR25読者の嗜好を踏まえ、2つの絶品お供のレシピを教えてくれた。が、実際「独身一人暮らしで料理をしっかりするなんて、正直オススメしない」(!)という。
「だってそれが義務になると面倒でしょ。料理は楽しんでほしいんです。彼女のためにササッと作っておもてなしをするとかね。いいパフォーマンスにもなる(笑)」
出来合いの品と食べるにせよ、どうせなら冒頭のようにお米の炊き方にこだわり、みそ汁の出汁はちゃんと取る。そんな工夫は実に楽しいものだとか。何気なく食事を作っているそこのアナタ。ちょっと手間を掛けるだけで、また違った“おいしさ”が待っているかも?
(吉々是良)