いつの間にか加害者!? SNSの訴訟リスク

誰でも簡単に発信者になれるからこそ、気をつけなければいけないことが多くなる。SNSに投稿するときは細心の注意を払うことをお忘れなく

今や小学生から高齢者まで誰もが簡単に使えるインターネット。そんなネットが普及するとともに、様々なトラブルが増えている。なかには、訴訟にまで発展するケースもあり、SNSでの投稿には特に注意が必要だ。

「SNS上で問題になり、訴訟にまで発展してしまう事案が出ていますが、それらのケース全体にいえることは、“意識さえしておけば未然に防げることばかり”ということです。情報告知、投稿などを行う場合は、『見る側にどう受け止められるか』というような視点を持っておかないとトラブルに発展してしまう可能性が常にありますよ」とは、田島総合法律事務所の森居秀彰弁護士。

では、トラブルに巻き込まれかねない行為を教えてください!

●他人の趣味・嗜好が分かってしまうような写真の投稿

「人物の顔が認識できる写真を無断でネット上に上げてしまう行為は特に注意が必要です。実際、街でファッションスナップを撮られた女性が、その写真を勝手にサイトに上げられたとして、訴訟を起こしたことがありました。判決では、写真を掲載した側に対して慰謝料として35万円の支払いが命じられたとのことです。これは、女性の肖像権を侵害すると評価されたものですが、例えばコスプレのイベントに参加した時の写真を勝手にアップしたとします。コスプレをして写真に撮られることを想定していた人ではなく、単にそのイベントに参加していたコスプレをしていない人が、写真に写り込んでいた場合、その人から訴えられることもあります。投稿によってその人の趣味・嗜好が周囲にバレ、その人の社会生活に影響が出てしまった場合、慰謝料を請求されることもあり得るんですよ」

イベントに限らず、人が大勢いる場所での写真をブログやTwitterにアップするのはよくある話。アップする場合は、その場にいる人に確認をとったり、加工をしたりしなくてはいけないようだ。

●ネガティブな投稿を肯定するようなコメント

「企業の悪口、人の批判、ウワサ話などの個人の投稿をシェアすることにも危険性はあります。『たしかに〇〇企業ってブラックだよな』『〇〇部の〇〇って、成績悪いと俺も思ってた』『〇〇さんってやっぱ不倫してたんだ』と、元々の投稿を肯定し、シェアしたとします。このような場合、もちろん、元の記事を投稿している人も訴えられますが、根拠もなく自分のコメントをのせてシェアをした人も、その態様・方法等によっては、情報発信の主体として名誉毀損の加害者の対象になる可能性を完全には否定できないと思われます」

シェアを気軽にしている人は気をつけた方がいいだろう…。

●飲食店などでの無断撮影

「取材拒否、撮影お断りというお店は、隠れ家のようなスタイルで営業されていることが多いと思います。そのような場合、店の場所が分かってしまうような入り口や外観の写真を投稿してしまうと、トラブルになりかねません。それにより、常連さんが立ち寄れないようになるなど、お店が意図しない状況になってしまうと、店側に訴えられる可能性も…。撮影をする前は、料理の写真なら撮ってもいいのか、店内なら撮っても大丈夫か、というように店の人に事前に確認をすることが必要ですね」

飲食店やショップなど、撮影できないお店は増えているもの。「撮影禁止」などの貼り紙がなくても確認はした方がいいだろう。

「SNSは公開範囲などを設定できるので、友達だけに公開しているつもりだったという人は多いと思います。しかし、一度公開すると、意図せず外部に拡散されてしまう可能性も十分にあります。情報をネット上に上げる時は、不特定多数が見る可能性が多いにあるということを考えておかなければいけません」

情報の発信が個人でも簡単にできるからこそ、責任も自分にふりかかってくる。投稿する際は、一度「この投稿は大丈夫か」と冷静になることが大切だ。
(山本絵理/short cut)

【今回教えてくれたのは…】

■森居秀彰弁護士
田島総合法律事務所弁護士。慶應義塾大学経済学部卒。平成17年弁護士登録。
弁護士登録後、渉外法律事務所に勤務し、海外への直接投資を中心とする渉外業務、海外企業の日本法人における労働関連紛争等の業務に従事し、平成21年に現事務所に転籍した後は、会社法関連法務、破産管財事件、労働関連紛争のほか、インターネット関連、不祥事対応、コンプライアンス等様々な業務を多数取扱う。
URL:http://www.tajima-law.jp/profile/morii/morii.html

 

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