
毎朝の目覚ましに、スマホのアラームを使っている人も多いのでは? でも、そんなときに悩むのが、「どの音楽をアラームに選べばしっかり起きられるのか」ということ。そこで、iPhone(iOS9.3.3)にデフォルトで搭載されているメロディのなかから、編集部がタイプの違う10種類の音をチョイス。音響研究所の鈴木松美所長に分析してもらい、目覚ましに適している音順にA~Cランクで評価してもらった。
■今回分析してもらったアラーム音
・アップリフト(ゆっくりとしたテンポの鍵盤のメロディ)
・オープニング(テンポが速い木琴のメロディ)
・マリンバ(代表的なiPhoneの着信音。軽やかな木琴のメロディ)
・こおろぎの鳴き声
・チャイム(金属がぶつかり合うような涼やかな音)
・教会の鐘(ヨーロッパの朝を思わせるにぎやかな教会の鐘の音)
・さざ波(ヒーリング音楽のような穏やかなメロディ)
・アラーム(緊急事態を思わせる警報音)
・レーダー(デジタル目覚まし時計のような音)
・プレスト(高速で鐘が鳴る非常ベルのような音)
まずは、10種類の音の中で最も目覚ましに適したAランクから発表!
【Aランク】
・オープニング
・アラーム
・教会の鐘
・さざ波
「目を覚ましてくれるのに最適な音というのは、(1)耳への刺激の強さ、(2)テンポ、(3)メロディの複雑さの3つの要素から導くことができます。(1)でいうと、これら4つは耳が最もキャッチしやすい『1500~3500ヘルツ』という周波数が高めの音を使っているんです。また、(2)は、ウォーキング時の脈拍と同じ『100~120bpm』(bpm:1分間に打つ脈の数)が人間が目を覚ましやすいテンポなのですが、その条件も4つの音は満たしています」(鈴木所長、以下同)
(3)に関しては、「ピピピッ、ピピピッ…」という同じ音を繰り返す単調な音より、高さやリズムの違ういろいろな音が混ざり合った音の方が、耳が慣れにくく、長期的に目覚まし音として使うにはよいという。
「『オープニング』は微妙に異なる3つのメロディから構成されていますし、『ビービー!』という警報のような『アラーム』も単音に聞こえますが、詳しく分析をすればさまざまな音が複雑に合わさっています。『教会の鐘』は、使っている音の種類が多い上に、Aランクの中でも耳への刺激が強い高い音が使われているので、今回の10種類の中では“最も目が覚めやすい音”と言えるのではないでしょうか」
「アラーム」や「教会の鐘」はなんとなく目が覚めそうなイメージがあったけど、ゆったりとした「さざ波」もAランクに入るなんて意外! ちなみに、より“心地よく”目覚めたい人にはこの「さざ波」がよいそう。鈴木先生いわく、「最初に強い音が出て、徐々に弱くなる構成になっているので、叩き起こされるような不快感は少ないといえそうですね」とのこと。
続いて、Aランクには劣るが目覚ましに適した要素を持っているBランクはこちら!
【Bランク】
・アップリフト
・マリンバ
・プレスト
「『アップリフト』と『マリンバ』は、単調な音ではないのですが、耳に刺激の強い高い音がAランクに比べて少なめなんです。一方、『プレスト』は高い音は使われていますが、単調なメロディなので、毎日使ううちに耳が慣れて目覚めにくくなる可能性があります」
朝が苦手な人や、すごく疲れて眠った人が使うには、ちょっと弱い目覚まし音なのかも。そして、残念ながら目覚ましには向いていないCランクは次の3つの音に。
【Cランク】
・レーダー
・こおろぎの鳴き声
・チャイム
iOS9.3.3のアラーム音としてデフォルトで設定されている「レーダー」は、「ピピピッ、ピピピッ」とデジタル時計のアラームのような音で、目覚まし音に使う人も多いかもしれないが、音が単調すぎて目覚ましには向いていないとか。「こおろぎの鳴き声」「チャイム」は、耳への刺激が弱く、逆に眠りを誘ってしまうかもしれないそう…。
今回の結果をもとに、明日の朝からの目覚まし音を選んでみては?
(アオキユウ/short cut)
【取材協力・関連リンク】
鈴木松美
音響研究所・所長。犬語の翻訳機バウリンガルの開発、音声分析などの音響ビジネスに携わる。
http://www.onkyo-biz.com/