- 在南アフリカ共和国日本国大使館・広報文化センター内でスマートフォンを操作する、イノセントさん(左)とライアンさん(右)
アフリカ大陸の最南端に位置する南アフリカ共和国。アフリカ最大級の経済大国であり、特に金やプラチナなどの生産量、埋蔵量は世界でもトップクラス。2010年にアフリカ大陸初のサッカーW杯が開催された国としても有名だ。そんな、経済発展を遂げている南アフリカではどのようなスマホアプリが使われているのか? 在南アフリカ共和国日本国大使館の協力のもと、同館の事務職員、ライアンさん(40代・男性)とイノセントさん(20代・女性)に話を聞いた。
■自国のメッセージアプリ「Mxit」が閉鎖
2009年頃、ブラックベリーのスマホが普及してきたタイミングで、スマホを使い始めたという、イノセントさん。よく利用するアプリは、メッセージアプリ「WhatsApp」や「Facebook」「Twitter」などというが、なかでもとてもユニークと話すのは、イギリス発の決済アプリ「Zapper」。レシートのQRコードを読み取って支払いをするアプリで、南アフリカ内で最近普及してきたそう。また、現地では、「News24」や「Rekord」、「FM apps」といったニュースアプリも人気だとか。
一方で、「人気がなくなった」と言うのが、2005年に南アフリカで開発された、無料メッセージアプリ「Mxit」。フィーチャーフォンでも利用できるのが特長で、開発から10年間で1億人以上のユーザーを達成したアプリだったが、後発の「WhatsApp」や「Facebook」の普及により、昨年9月に閉鎖したという…。
- イノセントさんの画面。「WhatsApp」は、南アフリカだけでなく、アフリカのほかの国々でも広く浸透しているそう
■「Facebook」の省パケット版「Facebook Lite」が人気
ライアンさんがスマホを使い始めたのは昨年6月で、「WhatsApp」や「Facebook Lite」を頻繁に利用。「Facebook Lite」とは、“2G接続や接続速度が遅いまたは不安定な地域での利用にぴったり(Google Playストアより)”なAndroid用アプリで、途上国のネットワークインフラに合わせた仕様になっている。「Facebook」に比べて、ダウンロードに必要なデータ量も、使用するストレージ容量も小さく、通信量が節約できるのがポイントだ。
また、現地の教育現場では、南アフリカ発のアプリ「D6 Communicator」も活用されているという。
「学校の行事や毎日の宿題などについて、学校と子ども、両親の間で共有できるアプリです」(ライアンさん)
毎日の宿題が親に伝わるとは、子どもには気の毒な気もするが、電子会報などもあるそうで、伝え忘れもなく、簡単に学校のお知らせをチェックできるという部分では便利だろう。
■目的の野生生物に簡単に会える!? 探索アプリ
このほか、南アフリカ最大の鳥獣保護区、クルーガー国立公園の野生生物の目撃情報を集約したアプリ「Latest Kruger Sightings」といった、お国柄の表れたアプリがあるのも興味深い。
アプリ以外に、日本のスマホ文化との違いについて聞くと、「南アフリカでは、食事中は会話を楽しむことを好むため、その間はスマホを操作しない」と、ライアンさん。また、日本ほど歩きスマホをする人もいないのだとか。携帯アクセサリーも、南アフリカでは何も付けない人が大多数と話す。
また、イノセントさんの親戚のお子さんは8歳で既にスマホを所持しているというから驚きだ。
「スマートフォンは、南アフリカでも徐々に普及してきていて、子どももゲームをしたり、音楽を聴いたり、インターネットをしたりしています。スマートフォンを持っていない子どもでも、両親のものを使って遊んだりしていますよ」(イノセントさん)
生活環境やネットワーク環境に合ったアプリが充実している印象の南アフリカ。特に、通信量が節約できる「Facebook Lite」や、教育現場で活用できる「D6 Communicator」は、日本でも利用価値がありそうだ。
(赤木一之/H14)
【取材協力】
在南アフリカ共和国日本国大使館館・広報文化センター
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