- SNSのつながりはタイの友達ばかり。日本人との友達つながりは日本語の先生くらいというダーオさん
LINEの全世界月間アクティブユーザー数2億1500万人のうち、約7割にあたる1億4470万人を日本、台湾、タイ、インドネシアの4か国が占める(※1)。そのひとつタイでは、経済の急成長によりスマートフォンの普及率も増え、アプリ市場も盛り上がりを見せる中、特にLINEが活躍しているという。
2015年、タイのアプリダウンロード数TOP20(iOS&Google Play合計)を見てみると、「LINE TV」「B612(LINEのセルフィーアプリ)」「aillis(元LINE Camera)」「LINE MUSIC」とLINEに関わるアプリが4つもランクイン(※2)。タイにとってLINEの存在感は大きいようだ。
そんなタイのLINEやスマホ事情を、東京・新宿のタイ料理店で働く、バンコク出身のジャーさん(30歳・女性・日本在住6年)とダーオさん(34歳・女性・日本在住2年)に聞いた。
■タイで着々と利用環境を整備していたLINE
5年前にタイで、4年前に日本でスマホを購入したというダーオさんとジャーさん。母国タイの家族や友達と連絡を取るなど、ふたりとも3年ほど前からLINEを活用しており、その当時からLINEはタイで定着していたという。
その要因のひとつとして考えられるのが、2012年にタイで行われた、現地企業とLINEとの業務提携やプロモーション活動。「LINE公式ブログ」(※3)によると、LINEはタイのサムスン社と提携し、スマートフォンの新商品にLINEを搭載。また、タイ最大手の通信キャリア「AIS」との提携では、オリジナルキャラクタースタンプが利用できる特別版スマートフォンを提供。テレビではLINEスタンプの利用シーンを訴求するCMなども放映されたという。

■情報源はニュースメディアよりSNS!
タイではiPhoneよりもサムスンの機種の方が安いため、「若者はギャラクシーが多い」というジャーさんとダーオさん。LINE以外にどんなアプリを使っているのか聞いてみると、ふたりとも口をそろえてFacebook、Twitter、InstagramとSNSばかりを答えた。
ダーオさんは、「友人と食事に行くと、みんな食べる前に料理を撮る(笑)」と話し、料理の写真をFacebookやInstagramによく投稿する姿は、日本と何ら変わりないようだ。
ジャーさんは、FacebookやTwitterに投稿・シェアされたニュース、飲食店情報を頻繁にチェックするという。タイにもニュースアプリ「Mthai」や飲食店の総合アプリ「Wongnai」などはあるものの、それらはほとんど見ずに、「情報源はSNS」と言いきる。ちなみに、タイのLINEには「LINE NEWS」がない。情報過多な日本と比べると、タイ独自のコンテンツがまだ発展途上だからこそ、SNSに頼ることが多いようだ。
■電車内でもスマホで大声が日常のタイ
タイのバンコクでは、日本と同じように多くの人がスマートフォンを持って生活している。ただ、日本と大きく違うのが、公共マナー。タイでは、電車内や街中でもスマートフォンを使って大声で話すのは至って普通のことで、通話も丸聞こえだそう。「日本はマナーも良く、静かで安心です」というダーオさんは、いまではタイに帰国すると他人のスマートフォンがうるさくて仕方がないという。
LINEやFacebookなど、SNSをよく使っている点では、日本と変わらない印象のタイ。App Annie発表の「新興アプリ市場レポート」(※2)によると、2015年時点で国内のアプリダウンロード数が対前年比で20%も増加。スマートフォンの市場普及率も50%近くあり、国際的な大手パブリッシャーもタイのアプリ市場を注目しているとか。今後、さらにアプリやサービスが充実していきそうだ。
引用
※1.LINE 2016年4月-9月媒体資料
※2.App Annie「新興アプリ市場レポート 次のフロンティアを探る」2016年2月発表
※3.LINE公式ブログ(2012年7月20日)
(赤木一之/H14)
【取材協力】
新宿タイ料理スアータイ
http://www.baankirao.com/suathai/index.html